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◆暗い路地の奥の奥に、屋台風の鮨屋発見!
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前回に引き続きの「築地」。朝からビールとモツ煮込みを喰らった
ブラボー★隊は、会社に戻って5時間ほどデスクワークをこなす。
でも頭のなかは夜の築地への期待でふくらむばかり。まともに仕事
ができるはずがありません(こんなダメ社員ですみません)。アル
コールの力で踊るようにふわふわと編集作業を終えて、日が沈む頃
に、再度出陣!
待ち合わせのジョナサンに到着すると、築地王はすでにビールを飲
んでおられるではないか。「や!」片手を上げる王に、小さな闘争
心を燃やしたあたくしは、ジョナサンだっていうのにビールを水代
わりにごくごくと飲み干し、目的地へと向かいました。
「いっぷう変わった屋台風の鮨屋がある」
王のこの言葉、この日何度思い出したことでしょう(またしてもす
みませんダメダメ社員)。王から教えていただいた事前情報では
「うどん屋」が経営している鮨屋なのだとか。しかも本店は京都に
ある創作料理店「虎杖(いたどり)」なんだって。
うどん???京都??? 虎の杖と書いて「いたどり」だなんて。
どういう意味があるのかな。経営者がタイガーマスク好きで「虎の
穴」からとってきたのかしら……などと思いながら王のあとをつい
て歩く。それにしても日が暮れた築地市場は朝から昼にかけての活
気がウソのように静まりかえっているのね。
注)あとで調べてわかったことですが、虎杖とは、至る所に根を張
って芽を出すタデ科の植物の名前。この植物のように多くの拠点を
もち、お客とつながっていきたいとの願いが込められているそうで
す。タイガーマスクなわけないっすよね。
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場外の細くて仄暗い路地に入り、シャッターの下りた店をいくつも
通り過ぎた先に、ぼんやりと足許を照らす行灯を発見。「ここが、
通称“裏・虎杖”。築地の新鮮な魚貝たちや、創作料理で舌の肥え
た京都のお客さんを満足させてきたセンスのよさで、これまで寄る
人の少なかった夜の築地に新風を吹き込んでいるんですよ」
へぇー。中を覗いてみるとすでにお客で賑わっている。渋い内装で
なかなかよさそうな雰囲気だ。
「あ、でもこれから行くのはここじゃないよ」
え。築地王は構わずどんどん奥へ進む。
「ここ」
まわりはみーんなシャッターが下りているのに、そこだけ不自然な
くらいに営業中。もともとオープンエアなところ、防寒用のビニー
ルがかけられている。カウンター6席のみの、確かに限りなく「屋
台風」である。
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路地入口の提灯が目印
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◆飲み助の心をくすぐる小粋な肴が次々と!
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さ、まずはエビスビール。缶で出されたものを各々黙ってグラスに注
ぐ。「何かつまみをみつくろってください」
割烹着姿のご主人、うなずくとおもむろにまぐろを火で炙りはじめ
た。「鮨屋で炙りものなんて珍しいですね」なんてシロウトみたい
なことがつい口から出てしまった。
ご主人笑いながら、「こだわるのがキライなんですよ。高級なネタ
を出す鮨屋はたくさんあります。鮨はこうじゃなくっちゃと思うお
客様は、そういうお店に行かれたらいいと思います」
ぬぬぬ。このご主人、「こだわらない」という筋の通った哲学をも
っていらっしゃる様子。これは期待できますよ!
炙りながら、ご主人が説明してくれる。「これはまぐろのわかれ身
という血合いのある部分で、炙って食べると美味しいんですよ」
手早く調理されて出されたマグロの炙り。にんにくポン酢に大根お
ろしでいただく。炙ったマグロの香ばしさとポン酢の爽やかさが口
いっぱいに広がる。ビールよりも日本酒が合いそうなオツな味だ。
続いて、同じくマグロをなめろう仕立てにしてくれた。エシャロッ
トのみじん切りが効いている。これまたオツ。
新鮮じゃないと臭みがあったりして、ホントの魚好きじゃないと苦
手だという人もいますが、このなめろうはそんな人でも食べられそ
うに新鮮だ。
ちょっと余談ですが、わたしはなめろう大好きっ子。背中の青い魚
であれば、なんでもたたいてなめろうに。酒のアテにはもちろん、
炊きたての白いごはんにのっけて、わしわしと食べるのもウマイ。
これから夏にかけては、真アジや真イワシの最盛期。新鮮なやつが
手に入ったら、ぜひお試しください。つくりかたは簡単です。細
かく刻んだ青魚に、ネギや生姜、ミョウガなどの薬味と味噌を加え
てねばりが出るまで(これがポイント)たたく。それだけ。以上、
ブラボー★漁師飯クッキングでした。
そのあと、穴子の肝のポン酢和え、甘海老と卵の和え物と酒飲みの
急所をつく小粋な肴が続き、ビールから日本酒に切り換える。山形
の純米酒(名前を失念。ごめんなさい)。
すぐ隣は築地市場。新鮮な魚はいくらでも手に入る環境にあって、
ご主人は「新鮮」だけに頼らず、ひとつひとつ手をかけて創意工夫
を施し、酒の肴にしている。それこそが料理人の心意気ってもんだ。
さてご主人、握ってもらいましょうか。まずはマグロから。頬張る
と、新鮮なマグロ独特の甘さが口の中に広がる。ほんのりあったか
いシャリとの相性もいい。「大トロですか?」と聞くと、「中トロ
ですよ。大トロに近いとこですけどね」とご主人。この脂の乗り具
合で中トロか。贅沢だね。続いて真ダコ。プリップリでこれまた新
鮮。間で酒をくいっと。王は酒豪のようだ。わたしがくいっとやる
間に、くいくいくいっと、やっている。ああ、この瞬間。うまし酒
とうまし肴で杯を傾ける。ひとりでもよし、気の合う人と数人とで
もよし。ささやかかもしれないけど、確かな幸せを感じる時ですね。
しみじみとおとなでよかったと思います。
「何か珍しいものありますか?」
「うーん、うちはこれだけの小スペースでやってるから、あんまり
ネタの種類を揃えられないんですよね」と恐縮しながらも、握って
くれたのはカワハギの肝のせ。淡泊な白身の魚に、クリーミィーで
濃厚な肝が絶妙です。
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オツなつまみの数々。 なめろうはエシャロットがポイント

寿司の名店「つきぢ神楽」で腕をふるっていたというベテラン職人渡邊博行さん

大トロなみの中トロ。
口のなかでとろけます〜♪
プルプルの食感がたまらないタコ
マグロは赤身のほうが実は好きです
これからの季節がおいしい真アジ
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◆シメはクリーミィーな絶品カレーうどん!
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そして最後のシメに、虎杖の名物である特製カレーうどんを表店か
ら出前。メニューは虎杖表店、裏店にあるものを黒瀬に出前しても
らったり、逆に黒瀬から鮨を表裏店に出前することも可能なのだと
か。そのフレキシブルな感じがまたいいですね。
さてさて、このカレーうどん、名物料理なだけあって非常に個性的
で、蕎麦屋のそれとはまったく違う味。お昼どきにこのカレーうど
んと向き合うために、もう一度足を運びたいと思うほどでした。
まず驚いたのがカレーのつゆ。関西風のしっかりお出汁に、生クリ
ームを使ったクリーミィーなコクのあるお味。そこに、細めのしっ
かりコシのある麺がからまり、ずずずっとすすると、口のなかで麺
が元気よく踊る感じ。カレーのまったり感とのびやかな麺との出会
い。いやー、あっぱれ。
小さな店がゆえに、メニューの豊富さは期待できない。でも、ご主
人の酒飲みのツボを心得た創意工夫と、気さくな雰囲気で最後まで
飽きることはない。また来よう、そう思える店はそうそう数あるも
のではないが、わたしにとってこの「黒瀬」はその稀少な店となり
そうだ。
最後に築地王さま。朝から晩までよっぱらい女子につきあってくだ
さってありがとうございます。すばらしき築地の名店の数々と奥深
い築地ワールドを教えてくれて、本当に勉強になりました。わたし
も築地王ジュニアをめざして築地道に励みます!
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濃厚な味わいが初めての出会い。 絶品カレーうどん
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虎杖姉妹店
「築地黒瀬」
東京メトロ築地駅から徒歩5分。
新大橋通りを築地市場方面に歩き、
中華そば若菜の手前の路地へ入った奥。
住所/東京都中央区築地4-9-7 中富水産ビル1F 鮨(100円〜) 、特製カレーうどん(800円) エビスビール(550円) 、日本酒(550円) 、 吟醸酒(700円)
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