中山庸子連載第17回
中山庸子連載第17回
中山庸子のプロフィール
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  連載第17回
ローン体質にならず、
賢くお金や物欲と付き合う


 Suicaに続きPASMOが発売され、目的地までの運賃を頭上の表
で確認しつつ切符の自販機の前に並ぶ煩わしさから解放され、う

しい限りです。それ以外でも、お財布から現金を取り出さ
なくても
済む仕組みが急速に整いつつあります。
 混雑した店のレジで「4105円です。」と言われ、まず千円札を取
り出したら3枚だけ、五円玉もなくて一円も4枚か!なんていうと
は、心底ガックリきます。それでも五千円札があったらラッキー、
これもなくて、ようやく一万円をくずす。こんな手間を考えると、
カードでサッサと会計が済ませられるのはありがたいものです。
 加えて、ポイントや割引などの特典がつくメリットがあるのもう
れしいですね。また
プラチナやブラックカードがブランド物のお財
布にズラリと並んで
いるのをカッコいいと思う人もいることでしょ
う。お店によっては店員
さんの扱いもカードの種類で(あからさま
に)丁重になるかもしれません。
 こんなに、いいこと尽くめのように思えるカードですが、気をつ
けなくてはならないのは、例えばお財布から一万円札が何枚か消え
去ることには抵抗があっても、カードだとあまり気にすることなく
買ってしまうという点。もっと怖いのは、ゼロがもう一つ多くても、
カードなら「なんとか」なってしまうことでしょう。
 以前、取材でふたりのOLから話を聞いたことがありました。
 ふたりとも基本給も賞与もほぼ一緒、自宅通勤なので家賃や光熱
費は親持ちだし、食費もほとんどかかりません。それなのにA子さ
んの貯金300万円に対して、B子さんは「5万円もないかな。あっ、
もしかするともう残高ゼロ、イヤ赤字かも……」とあっけらかんと
言うのです。
 もう、お分かりかと思いますが、B子さんは「買い物はみんなカ
ードで済ませちゃう」派で、A子さんは「できるだけ手持ちの現金
で」派だったんですね。
 B子さんは、今年のトレンドのものを身につけているようですが、
どこかチグハグ。その上「服やバッグがクローゼットに入りきらな
いので、もっと広い部屋がほしい」と嘆いていました。一方、A子
さんは「もし、気に入ったバッグが3万だったとして、お財布に入
っている一万円札3枚を、このバッグと交換しても悔いはないか」
と自分に問いかけて頭を冷やし、それでもほしいのなら購入するよ
うにしていると言うのです。
 A子さんの考え方のいいところは、言い方を変えると、自分が3
万円稼ぐのにどのくらいの労力を使っているのか、「その労力」を
「こ
の品物」に変える意味があるのかをきちんと把握している……
とい
う点に尽きるでしょう。
 だから、買ったものはちゃんと活用もするし、大切に扱う。自分
の貴重な労力と交換したものなのだから、当然です。とは言え、A
子さんだって、金額に関わらずどうしても欲しいという気持ちにな
ることはあります。その場合は他の部分を削ったり、貯金を下ろし
たりするかもしれないけれど、「借金してまで欲しいとは思わない」
という彼女は、現在の貯金の額だけでなく「お金や物欲と上手に付
き合える」というすばらしい財産を持っているのです。
 B子さんのような発想で、あっけらかんとしている女性たちの中
には、「自分のカードが使えないなら、ガマンなんてしないで彼氏
プレゼントさせればいいもん」と思う人もいるでしょう。もちろ
ん、
彼女がそんなにほしいのなら……と、いそいそとプレゼントし
てく
れる恋人やオジサマが存在するかもしれない。
 でも、本当の「贈り物」って、そういうものじゃない気がします。
 「プレゼントさせる」という発想を持った時点で、彼女はカッコ
いい女から離脱したということでしょう。
 物欲にあまりに囚われると、ゴージャスに見える格好をしていて
も、どこかギスギスした印象になってしまいます。それは世の中を
損得でしか見られなくなった人特有の「貧しさ」が表情やしぐさに
表れるからです。
 1日1日を手ごたえある(本当に)豊かなものにしていくために
も、
「ほしいものがあったら、お金を借りてでもすぐ買っちゃおう」
ローン体質や「彼氏に買わせちゃおう」のおねだり体質にならな
で「ほしいものがあったら、自分なりに方法を考えたり工夫した
するところからやってみよう」のイキイキ路線でいきましょう!
 不思議なもので、イキイキさわやかにお金と付き合える女性とは
(A子さんの場合のように)お金の方も安心して仲良くなりたがるみ
たいですよ。





「中山庸子の本屋さん」
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