関根健夫 著者略歴


Q5 取引先の事務所に持っていく手土産は、どんなものを選ぶ?

 デザイナーの事務所に依頼にいくことになりました。初めてお願いする事務所で「これからのお付き合いもあるので、手土産を持っていくように。手土産は任せるから」と、上司から指示を受けました。
 女性の多い事務所だとは同業者からの情報で知っていましたが、それ以上は情報がありません。
 手頃なものを選ぼうと、先方に着く前にデパートに寄ってみたところ、クッキーやケーキ、煎餅などのお菓子、果物、ジュース、お茶……、どれにしたらいいのか見当もつきません。
 せめて、失礼に当たらないようにしたいのですが、手土産を持参する際にはどんなことに気をつければいいのでしょう?

回答
「相手がもらって喜んでくれるもの」が正解。好みや数量に配慮して、その上で一工夫が欲しいところ。

 手土産に「このケースではこれ」といった決まりはありません。
 「もらって喜ばれるもの」これが正解です。
 しかし、それが難しいのも事実です。最近では「量の多いものより質の高いもの」「一般的なものよりそこでしか買えないもの」「贈る人のこだわりがあるもの」が喜ばれるという傾向にあると感じます。あくまでも、個人的な感想ですので絶対ではありませんが……。
 逆に、手土産を選ぶときにやって欲しくないことは、相手方の事務所や会社の近所にある店で買うことです。なんといっても、お膝元の界隈であれば、おいしい店などはすべて先方の知識が上です。値段や質がすぐにばれてしまいますし、「なあんだ、いつものお店のやつか」などと思われてしまうこともあるでしょう。

 また、どれくらい買っていけばいいのか、という数量については臨機応変に対処しましょう。
 事務所の職員が10名だとしたら、その人数をカバーできる個数が欲しいところですし、50名とか100名だとしたら、部署ごとの対応になるでしょうから、職員全員に行き渡る必要はないわけです。逆に2〜3人だったら、単価的には予算をかけられるでしょう。
 喜ばれるコツとしては、同じようなアイテムのものがいくつか売られているときは、他よりやや高めの単価を選ぶことです。自分で買うのには少し抵抗感があるかな、というニュアンスもポイントです。
 女性の多い職場であれば、お菓子類、俗に言うスウィーツが無難とは思われます。すべての人の好みに合わせることは不可能ですが、あまりに嗜好の強いものや保存期限のタイトなものは避けましょう。
 自社のそばにある専門店などで売られていて他では買えないもの、デパートであれば新発売、新ブランドなどもポイントでしょう。最近は、○○空港限定、○○デパート限定といった商品もあります。これらの商品は、他では手に入らないという「プレミア」的な強みがありますから、こまめにチェックしておくとかなりのポイントアップになります。
 たかがお土産ではありますが、ブランドやアイテムについては、女性に人気の傾向などを知っておいても損はないでしょう。そのためには、自社の女性社員や家族などから情報を得るのも手です。いろいろなことに常に興味を持っておくことが、突然の手土産などの気くばりに「差」が出てくるものです。こうした姿勢は、仕事にも生きてくるのではないでしょうか。

まとめ「お土産にこんなものを持っていくと喜ばれるかもしれない。そんな視点を常に持っておこう」

Q6 クレームを言うときにも、マナーは必要ですか?

 依頼していた納期から、二日遅れで品物が届きました。遅れている時点で催促をしたのですが、いろいろな理由をつけてきて効果がありませんでした。おかげで、今後のスケジュールが大幅に狂い、巻き返しが大変です。
 しかも、完全に相手のミスなのにもかかわらず、きちんとした謝罪の言葉も聞かれません。ここは、きちんとクレームを言うべきでしょう。しかし、私が入社する以前からの長年の取引先でもあり、単に怒鳴りつければいい、ということでもない状況です。
 節度とマナーを守って言うべきことを言わなくてはなりませんが、クレームをつける側の守るべきマナーとはどんなものでしょう?

回答
クレームとは「文句を言う」ことではなく、「権利を主張する」こと。強い立場だからといって感情的になってはダメ。

 「クレーム」とは必ずしも「苦情」ということではありません。
 クレームとは「権利を主張すること」であり、言いたいことを堂々と言うことです。商品やサービスを提供される側、いわゆるお客さまの立場で、その取引行為について相手方にミス等があって、言いたいことがあるのであれば、それは主張してもよいことだと思います。
今回の問い合わせのように、長年にわたっての取引先であれば、いきなり取引停止というわけにはいかないでしょう。これまでのつき合いがあるのであれば、クレームを言うことによって相手側の更生を期待できるのではないでしょうか。
 そこで、例えば次のような言い方、考え方をしてみましょう。

  1. 次回以降の取引の注意点として納期の確約をより確かに求めておく。
  2. 今後こういうことがないようにと、頼むように言う。(命令的に言わない)
  3. 取引に当たっては今まで以上に頻繁に連絡を取る。
  4. お互いに確実な仕事ができるようアドバイス的に言う。
  5. 上司に相談し、言い方について指示を仰ぐ。
  6. 上司から言ってもらう、などです。

 しかしここで注意したいことは、単に「憤懣をぶつける」とか「文句を言う」などという態度、つまり即苦情には出るべきではない、ということです。
 一般的にクレームを言う場合、商品やサービスを提供する側、される側の立場があるものです。「私が客だ!」という意識がある意味で人間性や思いやりを崩すのでしょう。居丈高な態度を取ったり、必要以上に相手を攻め立ててしまったりすることがあるものです。
 確かにお客さまの立場は強いものです。もちろん供給者側にミスがあれば、その立場は絶対になるでしょう。だからといって怒鳴ったり、個人の人格を攻撃するようなことがあっては、客観的にはこちらの人間性も問われようというものです。
 クレームはむしろ、言う側の立場に立ったときにこそ人間性が問われるものなのではないかといえます。

まとめ「クレームを言われる側より、言う側にこそ人間性が問われると覚えておこう。」




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